2026/03/07 22:42

皆さま、こんにちは。


ミルグランの片吉です。


フランスの現地ワイナリーで出会った、シャンパーニュ「ローラン・シャルリエ」の試飲エピソード。 第1弾の白(エッフェル塔ラベル)、第2弾のロゼに続き、今回はその時に試飲した3杯目のキュヴェのお話をさせてください。


「優しい泡」と「ブルゴーニュのような気品」を感じたロゼの余韻に浸っていると、当主が「さあ、次はこちらを」と、静かに3本目のボトルを開けてくれました。


それが、今回ご紹介する「ブラン・ド・ノワール」です。



1. 黒ブドウの気配を感じる色合いと、奥ゆかしい香り 



グラスに注がれた瞬間、これまでの2本とは少し違う雰囲気を感じました。 


ただの黄金色や琥珀色というわけではなく、ロゼシャンパーニュとは違うものの、ほんの少しだけピンクがかったような印象を受けます。


「黒ブドウ由来のニュアンスが、これから香りと味に見え隠れするのかな?」と、飲む前から期待を持たせてくれる色合いです。


そこから立ち昇る泡を見ると、このシャンパーニュが持つエキス分の濃さが自然と伝わってきます。


グラスにそっと鼻を近づけると、カシスやフランボワーズといった赤い果実のニュアンスが、出張ることなく奥ゆかしく香ります。 


シャンパーニュは赤ワインのように果皮を浸して抽出するわけではないので、こうした果皮由来の香りが強烈に主張してくるわけではありません。


ですが、その控えめな果実香の奥に、ドライフルーツやほんのりとしたシナモン、熟成による香ばしいトーストのような香りが複雑に重なり合い、静かに、そして確かに立ち昇ってきました。



2. ピノ・ノワール85%がもたらす、芯のある味わい 



グラスに注がれる際、当主からこのシャンパーニュの基本構成について、いつものように淡々と、しかし丁寧な説明がありました。


「これは『ブラン・ド・ノワール(黒葡萄のみで造られた白ワイン)』と呼ばれるスタイルで、ピノ・ノワールを85%、ムニエを15%という比率でブレンドしている」


その言葉を聞いた上で、一口含んでみました。 


豊かなボディと、口いっぱいに広がる旨味。


これまでの白やロゼが持つ「優しくふっくらとした」印象とはまた違い、飲みごたえのある、芯の通った骨格を確かに感じます。


「なるほど。すごく力強くてリッチですね。でも、決して重すぎない絶妙なバランスに仕上がっています。この85%と15%という比率には、どういった意図があるんですか?」


私がそう尋ねると、当主は表情を大きく変えることなく、言葉を選びながら誠実にその理由を教えてくれました。 


「良質なピノ・ノワールでしっかりとした骨格を作り、そこにムニエの柔らかなフルーティーさを重ね合わせることで、この奥深い味わいを生み出しているんだ」



3. 想像を掻き立てられる、食事とのマリアージュ 



当主の誠実な説明を聞き、グラスに残ったワインをゆっくりと味わいながら、私はいつものように「このワインにはどんな料理が合うだろう?」と想像を巡らせていました。


フランスの感覚なら、これくらいしっかりとしたコクと飲みごたえがあるシャンパーニュなら、やはりお肉料理だろうな、と私は思いました。 


「この骨格なら、お肉料理に合いそうですね」と伝えると、当主は「そうですね。鶏肉のフリカッセ(クリーム煮)や、柔らかいお肉のステーキなども良いですね」と、メゾンとしての推奨を教えてくれました。


もちろん、その組み合わせも間違いなく美味しいはずです。


でも、私はこのワインのふくよかな旨味ときれいな酸を感じながら、ある一つの情景を思い浮かべていました。


「厚切りのスモークサーモンを頬張って、口の中でサーモンの脂と旨味が混ざり合ったところに、このブラン・ド・ノワールを飲んだら……ものすごく素晴らしい組み合わせになりませんか?」


私が思わずそう尋ねると、それまで淡々と丁寧に説明してくれていた当主のティボー氏が、「それ、良いですよ」と、その時ばかりはニコッと微笑んだのです。


その柔らかな表情は、未だに私の記憶に強く残っています。


これだけしっかりとした旨味と骨格がありながら、ただ重いだけのワインにならないのは、これまでのキュヴェにも共通していた「きれいな酸」が全体を心地よく引き締めているからです。


これ、お鮨とかどうかな。それこそ厚切りのサーモンが合うんだから、サーモンの握りは間違いないだろうし、マグロも中トロや大トロといった脂身をしっかりと感じられる部分なら、より相性が良いのでは……と、私の想像は尽きません。 


ティボー氏もサーモンとの組み合わせには納得して微笑んでくれたくらいですから、きっと間違いないでしょう。



4. 後日談:実際にお鮨と合わせてみたら… 



ここからは日本に帰国してからの後日談になります。


皆さまも、「お鮨とシャンパーニュの組み合わせ」って気になりませんか? 私自身、実際にこのブラン・ド・ノワールとお鮨を合わせて試したことがあるのですが、脂身を感じるネタなら、まずもってOKです。


大正解でした。


先ほどの想像通り、サーモンや中トロ・大トロはもちろんのこと、ブリやエンガワもいけますね。 また、ウニやイクラとの相性も抜群でした。


最近ちまたでは「雲丹(うに)シャン」なんて言葉も流行っているようですが、実際に合わせてみてその理由がよく分かりました。


それにしても、どうして海の幸であるウニとシャンパーニュってこんなにも相性が良いのでしょうか。


少し不思議ですよね。 


私なりの解釈ですが、ウニの持つあの濃厚でクリーミーな旨味と甘みが、このブラン・ド・ノワールのしっかりとした骨格や果実のコクと見事に調和するのだと思います。


さらに、シャンパーニュの持つ「きれいな酸」とミネラル感が、ウニ独特の磯の香りを生臭く感じさせることなくスッキリと洗い流し、旨味だけを口いっぱいに広げてくれるんです。



特に、口の中がウニの風味とシャンパーニュの旨味だらけになるあの多幸感は、本当に凄いペアリングだったと今でも鮮明に覚えています。


フランス流にお肉料理と合わせるのも良し、日本ならではの脂の乗ったお鮨と合わせるのも良し。 


造り手が込めた深い味わいが、海を越えて日本の食卓で新しい表情を見せてくれる。


ワインって本当に面白いですね。


「今日はゆっくりと深いワインを楽しみたい」という夜に。


この1本が、皆さまの食卓にささやかな驚きと喜びを添えることができたなら、輸入元としてこれ以上の喜びはありません。


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