2026/03/11 09:22
皆さま、こんにちは。
ミルグランの片吉です。
フランスの現地ワイナリーで出会った、シャンパーニュ「ローラン・シャルリエ」の試飲エピソード。
第1弾の白、第2弾のロゼ、第3弾のブラン・ド・ノワールと続いてまいりましたが、本日はその試飲の最後に当主が出してくれた「メゾンの最高峰」のお話です。
黒葡萄主体のブラン・ド・ノワールの余韻に浸っていると、当主が「私たちのメゾンのプレステージキュヴェも試してください」と、静かに、しかし確かな自信を持って1本のボトルを開けてくれました。
それが、「ル・アンティーク」です。
1. 濃密なゴールドと、香りから始まる心地よい裏切り
グラスに注がれると、これまでのキュヴェよりも一段と輝きを帯びた、濃密なゴールドの色調が現れます。
香りを確かめると、青りんごのフレッシュ感と、熟成由来と思われるウィスキー樽のようなニュアンスが僅かに感じられました。その奥からは、トーストやナッツの芳醇なアロマも漂います。
グラスを渡される際、当主から「これは8年以上、瓶内で熟成させている」と説明がありました。
その言葉を聞き、私は「時間はかなり経過しているはずなのに、香りに意外なほどフレッシュ感がある。
なんだろう」と想像を巡らせながら、ゆっくりと口に含みました。
やはりワインというものは、口に含んだ第一印象が大きなインパクトとして記憶に残りますよね。
私はその瞬間、思わず「うん」と首を縦に一つ振っていました。
きっと、自然と表情も緩んでいたことでしょう。
バランスの良い口当たりながらも、レモンピールのような高貴な苦みを伴う「鮮烈な酸」の輪郭がダイレクトに伝わってきます。
そこから、大樽由来の厚みのある旨味と熟成による独特の香りが後から追いかけてきて、非常に複雑味のある長い余韻へと続いていきました。
8年以上もの歳月を経ているのに、驚くほどフレッシュで、張り詰めたような緊張感(テンション)がある。
熟成由来の円熟したコクと、クリスタルのように清冽でリニア(一直線)な酸が、極めて高い次元で同居しているのです。
2. 「非マロラクティック発酵」と、あの大樽の伏線
「8年も熟成させているのに、なぜここまで酸が生き生きとした輪郭を保っているんですか?」
私がそう尋ねると、当主は言葉を選びながら誠実に、そして誇りを持ってその理由を教えてくれました。
「実はこの『アンティーク』だけは、ラインナップの中で唯一、マロラクティック発酵(乳酸発酵)を行わずに造っているんだ。そして、あの伝統的な大樽(フドル)で醸造しているんだよ」
なるほど……。
最初に醸造施設を見学した際、静かに鎮座していたあの大きな樽は、この最高峰キュヴェのために使われていたのか、と深く腑に落ちました。
シャンパーニュ造りにおいて、酸を和らげるために通常行われるマロラクティック発酵。あえてそれを行わない(非MLF)ことで葡萄本来の鋭い酸をそのまま残し、伝統的な大樽で醸造して奥深い趣を付与する。
その後、8年という長い歳月をかけて瓶内で寝かせます。
そうすることで、あの鋭かった酸がゆっくりと旨味へ溶け込み、他にはない劇的なバランスへと昇華していくのだそうです。
ブドウ品種も、ムニエ34%、ピノ・ノワール33%、シャルドネ33%と、このキュヴェのためだけに3品種をほぼ均等にブレンドし、緻密な計算の上に成り立っています。
(後編へ続く)
次回、後編ではこの「相反する要素が同居する複雑なワイン」に、どんな料理(特にお鮨!)が合うのか。
そして、日本の愛好家の方々のリアルな反応についてお届けします。ぜひお楽しみに。
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