2026/03/11 17:29

皆さま、こんにちは。ミルグランの片吉です。

前回は、フランスの現地ワイナリーで出会ったローラン・シャルリエの最高峰キュヴェ「ル・アンティーク」のテイスティング体験と、その製法の秘密(非マロラクティック発酵と大樽醸造)についてお話ししました。


本日はその後編として、この複雑な味わいが魅せる「食とのマリアージュ」、そして日本の愛好家の皆さまの反応についてお伝えします。



3. 想像を掻き立てる、和食・お鮨とのマリアージュ


グラスの中でゆっくりと花開いていく複雑なアロマを感じながら、私はいつものように「このワインにはどんな料理が合うだろう?」と想像を巡らせていました。


フランスの感覚なら、バターをたっぷり使った濃厚なソースの魚料理や、上質な白身肉のローストなどが王道でしょう。


しかし私は、職業柄というか日本人の感性なのか、どうしても和食、特に「お鮨」との相性を真っ先に探ってしまう癖があります。


この『アンティーク』が持つ、大樽由来の厚みのある旨味と、8年熟成によるトーストやナッツのコク。これは、赤酢を使ったしっかりとした旨味のあるシャリや、皮目を炙った香ばしいネタ、あるいはツメを塗った煮穴子などをしっかりと受け止めてくれるはずです。


そして同時に存在する、非MLFによるレモンピールのような鮮烈で一直線な酸が、魚介の濃厚な脂をスッキリと洗い流し、塩とすだちでいただく白身魚や貝類の甘みを、極限まで引き立ててくれる光景が鮮明に浮かびました。 


熟成感とキレが同居するこの複雑なワインなら、コースの最初から最後まで、お鮨の多彩な味わいに見事に寄り添ってくれるに違いありません。



4. シャンパーニュ愛好家を魅了する、純粋な驚き 



ここ数年、毎年春と秋に開催されるシャンパーニュの祭典「マルシェ・ドゥ・シャンパーニュ」に出展させていただいております。


その会場で、ローラン・シャルリエの各キュヴェを有料試飲として皆さまにご紹介しているのですが、数あるアイテムを飲み比べた中でも、この『アンティーク』は常に特別な人気を集めます。


このイベントの素晴らしいところは、誰もが知る有名メゾンのブランド名に頼るのではなく、純粋に「中身の美味しさ」や「未知の造り手との出会い」を楽しむ愛好家の方々が集まっている点にあります。 


グラスに注がれたアンティークの、相反する要素が同居する複雑な味わいに驚き、「これ、面白いね」「すごく美味しい」と、シャンパーニュ仲間同士で笑顔で語り合っている光景を、私はいつも嬉しく拝見しています。


中には、「これは今飲むのも良いけれど、この酸の残り具合からして、10年先まで1本ずつ開けながら経過を楽しむのもいいね」と、そのポテンシャルの高さを評価してくださる方や、「純粋にシャンパーニュをメインにして、食事はちょっとしたつまみでいいね」と仰る方もいらっしゃいました。


こうしたお客様のリアルな声を聞くたびに、この『ル・アンティーク』にはそれだけ深く向き合いたくなる深い「趣」があり、飲み手の想像力を掻き立てる圧倒的な「表現力」が備わっているのだと、改めて実感させられます。



5. 時を慈しむ至福の体験 



効率を度外視し、メゾンの哲学と手仕事を極限まで詰め込んだ、まさに「芸術品」と呼ぶにふさわしい1本です。


これだけの手間と時間をかけているため、日常的に気軽に開けられる価格ではありません。


ですが、グラスの中で静かに解き放たれる8年の歳月と手仕事の凄みは、表面的な情報だけでは計り知れない深い感動を与えてくれます。


「私たちのメゾンの象徴です」と語った当主の誇り高き横顔。


そして、マルシェでこの味わいに驚き、笑顔を見せてくださった愛好家の皆さまの姿。 


この『ル・アンティーク』を通じて繋がるその喜びの輪の中に、いつか皆さまにも加わっていただけたら。


そんな日を、密かに心待ちにしております。



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